あ、れ――?

背中に当たる柔らかいものに、肩までかけられたキャラクターの毛布。


ぼーっとしていた頭が少しずつ覚醒し始める。

背中が柔らかいと感じたのは、ベッドのせい。

この毛布は……昔、俺が小学生の頃に使っていたものだ。


おかしい……と気付くのが遅すぎた今、頭がはっきりと目覚める。


ベッドに――寝ているはずがないんだ。

だって、俺が壊して……寝る場所だって……布団を敷いたはず。


だよな……?


目の前の光景がやけにリアルで、なんだか気持ちが悪い。

この部屋だって……昔の、懐かしい……あれ?


自分の体をペタペタ触ってみる。


ドクン……ッ!と心臓がより一層音を立てた時。

視界の隅に隠れた自分を映す鏡。



“自分”が映っていることは分かっているはずなのに

……それを全て目の当たりにすることが出来なかった。