もっと、聞いて欲しかった。


罵って、罵倒して。

もっと俺を責めて欲しかった。



これじゃあまるで……生殺しだ。



「……」

重い体を引きずって、バスルームへと向かう。



「――…ッ」

鼻につく、美桜の香り。


あんなに好きだった香り。


けど、今は――…



「未来くん……っ」

俺の様子を見に来た咲良さんが、急いでキッチンへと向かって行った。



「はぁ……はっ」

呼吸が乱れ、体の奥底から湧き上がる吐き気。

吐いても吐いても――止まらない嗚咽。



美桜がいなくなった痛みは、俺の体にはダメージが大きすぎた。