この声……違う。
美桜は俺の名前をくん付けでは呼ばない。
「未来っ!」
肩を揺すられて、ハッと目を覚ます。
「すごいうなされてたのよ」
咲良さんの声で、ようやく気が付く。
額も体もすごい汗だ。
湿り気を含んだ服が肌に張り付いている。
おまけに、テーブルに突っ伏したまま眠ったせいで体が固まって。
肩から腕から全身が悲鳴を上げている。
窓から差し込む眩しすぎる朝日に目を細めた。
ダメだ……光は、苦手だ。
キモチワルイ――。
「お風呂、入ってきて?話は後で聞くわ」
「今日は休みなさい。学校には連絡をしておくから」
あえて、“美桜がいない”事実に触れてこないふたり。
それが今の俺には、――痛々しかった。