深い深い闇の中、どこに行くわけでもなく。
どこに向かっている訳でもなく。
何も考えられず、ただひたすら歩いた。
目の前に闇がある限り、きっと俺はここから出られない。
もっと深い黒を求めて……さ迷うんだ。
ふっと、落ちてきた、答え。
美桜の、存在。
それが俺にとっての光、だった。
「未来、未来……っ」
どこからか、聞こえてくる美桜の声。
甘いソプラノ音の柔らかい、声。
しかし、それはやがてかすれて、“他の誰か”の声に変わって。
「未来くんっ……!」
そこにまたひとつ、別の声。
懐かしい美桜の声――…。
あ、れ……?