最後の言葉は言わしてもらえなかった。


シーツを体に巻きつけながらバスルームに逃げ込む美桜。



それを視界の隅で捉えながらも、


さっきの拒絶が相当効いていた
俺には……

どうする事も出来なかった――。



ガランと佇む部屋。


シワの入った白いシーツ、俺が美桜に出会う前から使ってきたベッド。




「うわぁぁぁあああっ」

シーツを剥ぎ取り、ベッドをぶん殴っていく。

頭がおかしくなりそうだった。


消し去ろうとしても、何度も浮かんでくる光景。

裸の美桜の上に張り付くアイツの体。



「――……ッ」

ベッドを構成する木が折れるまで殴り続け、蹴り続け。


形を変え変形したベッドが俺に牙を向く。

尖った木の破片が刺さり、血がにじみ出る。