「マジ、頼むよ~」
「は?無理」
手を合わせて必死に頼み込む志月にしれっと返事をする。
だって、今日は……、
「大丈夫だよ」
そう言う美桜は、“行って来ていいよ”と言いたげな瞳を俺に向ける。
「よくないよ」
帰りは、美桜とふたりで夕ご飯の材料を買いに行く約束をしてたんだ。
それを……コイツ、ぶっ壊しやがって。
「マジで今回は合コンとかじゃなくて!」
“運命”とほざく彼女とのデート服を選んで欲しいと言うのだ。
「その彼女、運命なんかじゃないだろ、絶対」
「はぁ……っ!?」
「……未来っ?」
スルーして通り過ぎる俺を美桜が追いかけて来る。
どうも俺は、美桜が絡むと自分を見失う。
どんな用事があっても、美桜を優先して、美桜を中心に考えてしまう。