それを何にも分かっていない美桜は、ルンルンと楽しそうに歩いていて。
無意識に天然が加わると――ある意味最強だと思った。
「よ……っ!」
「ってぇ!」
テメ、いい加減にしろよ。
いつも人の背中を加減なく叩きやがって。
怒りのボルテージが急上昇する中既に美桜に話しかけている志月。
「煮込みハンバーグだって~?」
「え?う、うん……」
遠慮なんて言葉をこれっぽっちも知らない志月が、人ン家の会話に土足で入りやがって。
「俺もご馳走してもら……っ、てぇ!」
「美桜に気安く話しかけんなクソ志月」
「ああっ!?」
バコン!と志月の頭上目掛けて、カバンを振り下ろしてやった。
「なんなら、また行ってもいいんだぜ?……ケーキバイキング」
「えっ!ケーキ?」
美桜の瞳が、キラッと光った。
「マ……ママ、マジ勘弁。ふたりで行って来いよ」