無意識にこぼれ落ちた言葉。


不意を突かれたネコは、顔を赤くさせながらすばやい動きで振り返った。

俺の好きな、長い髪を揺らしながら。



その真っ黒な瞳に、俺だけを映して欲しい。


どうか

これからも、ずっと。


窓に背中を預けて、美桜をそっと抱き寄せる。


「……」

無言のままの、美桜。


抱きしめているから、表情は見えない。




妙に高鳴る鼓動が、美桜から伝わってきて。


俺にドキドキしてるんだ、って思ったら嬉しくて。




――でも、違ったんだ。


窓の外からじっとこちらを見つめる“誰か”の視線に、美桜が凍り付いていたことを。



俺は、知らない――……。