「あ、あのね……っ!」

久しぶりの、親子での買い物。

映画も観てきたらしい美桜は少し興奮ぎみに内容を話してくれる。



「でねっ、こうなって……」

身振り手振りで必死に教えてくれる美桜に、心がキュッと甘い悲鳴を上げたんだ。


きっと、行ってきたのは自分たちだけだから

ずっと家にいた俺に気遣ってくれているのだろう。




「分かった、分かった」

よしよし、と頭をなでると


「あっ、今からかったでしょっ」

ツンと俺に背中を向けるネコ。


懐いていると思えば、急に不機嫌そうに背中を向けて突き放す。



その付かず離れずの
絶妙な加減に俺の心はいつも持って行かれる。



「ねぇ、美桜」

「……」

なかなかこっちを振り向いてくれない。

ご機嫌を損ねたネコの機嫌をどうやって取り戻そう。





「――…好きだよ」