でも本当にうまそうに飲む志月に何も言えなくなってしまう。 ってそんなことより――。 帰るときに感じた “イヤな予感” は見事に当たった。 まさか、目の前で飲むコイツの一言で左右されるなんてな。 ――思ってもみなかった。 なんだ……? コイツには不思議な力かなんかがあるのか? 「髪、すげぇ長かったよな」 グラスの底に沈む、 無造作にカットされた桃をつつきながら志月が口を開いた。 ……あれは やっぱり“あの彼女”だ。