「どこ行ったんだろう」
――正直気になるのは、出かけた場所。
夜、美桜に聞けばいいか。
真夜中の密会は未だ続いている。
「夜、未来の部屋で何かしているだろう」
――美桜ちゃんが部屋を抜け出すって彼女から聞いていてね。
続けられるオヤジの言葉は、心なしかひんやりと冷たい。
いつかはバレると思ってた。
「いつから分かった?」
挑戦的な俺の言葉にオヤジはこう返してくる。
「1週間くらい、前から」
と、いうことは……ほぼ1ヵ月の間はオヤジたちの目を欺いてたってことになる。
大きな秘密を抱えたネコは、どこまでも忍びを利かす。
それまでの間、バレなかったことは尊敬に値する程だ。
「何を……してたんだ?」
長い沈黙を破ったのは、オヤジの方だった。