「「行ってきます」」
「「いってらっしゃい」」
週末の日曜日。
元々美桜の親子は仲が良く、よくこうして出かけたりしてたって美桜から聞いてた。
咲良さんの仕事が忙しくなってからは
出かける回数もグッと減った……って、寂しそうに話してたんだ。
今日は、そんな咲良さんと美桜の為に取った休日。
久しぶりに、1日を親子で楽しんで欲しいっていうオヤジからの提案で。
ふたり並ぶ後ろ姿は、本当に仲のいい親子だ。
髪を揺らしながら歩く嬉しそうな背中の美桜を見送り、バーのドアを閉める。
「なんでまた急に」
そう言う俺に、オヤジは嬉しそうに呟いた。
「彼女は本当によく店を手伝ってくれる」
――たまに、お客さんに口説かれている所が心配だけどね。
まあ、美桜のあの顔立ちも咲良さんから受け継いだモノだから。
口説かれるのも、無理はないだろうけどね。
……オヤジにとっては、気が気じゃないんだろうけど。
「たまには、休みを取って羽を伸ばしてもらいたかったんだ」