「オヤジ、フレンチアイスティーふたつね」

それだけ告げると、トン……トンと静かな音を立てながら階段を上っていく。



「この前の、シャーリー・テンプルもうまかったわ」

そう、うっとり話してくれる。



オヤジはバーテンダーをやっていて、ひとりで店を経営している。



――この
ギラギラ輝くネオンの街で。



最近は
ひとりが苦しくなってきて……

もうひとり
雇おうかって言ってたっけ。




「今日のは?」

「…ああ。俺のオススメのヤツ」


ダージリンに、桃が香る……ノンアルコールカクテルだよ。