「はっ?何でだよ」

イヤらしい顔で美桜のこと盗み見やがって。


「今日は美桜の母親が来る日だから。な?美桜」


美桜に視線を落とすと、コクッとだけ静かに頷いた。



「じゃ、明日な」

「はぁ……、おう」

明らかに残念そうにため息を吐くと片手だけを上げてみせた。



「じゃあ明日な、美桜チャン」

「バイバイ、シヅキ……?」

美桜が
若干疑問系の返事を返すと志月の表情がパァッと明るくなる。


……分かりやすいヤツ。



こうして志月と別れた後も



「シヅキ、シヅキ……」

またもや、呪文のように志月の名前を唱え続ける美桜に

抑え込んでいる感情が爆発してしまいそうになる。



「シヅ、……っ?」