自分のことを思い出してもらえるように必死だ。


しかし、美桜の表情が変わらないことについに観念したのか


「志月っていうんだ。ヨロシク」

「シヅキ……?」

「そ。呼び捨てでいいから」


「シヅキ、シヅキ……」

今まで女子校で生活してきた美桜には、男の友達が出来ることが新鮮に感じるのだろう。


まるで呪文のように
でも、どこか嬉しそうに志月の名前をこぼす美桜に


…――少し、妬けた。




「家の店で美桜のお母さんが働くことになって、それで美桜も家に住むことになったんだ」


帰りながら、志月に事の経緯を説明してやった。



「じゃあ、さっそく今日未来の家に遊びに行……「却下」