男が怖い、というのは相変わらず続行中の様子。



俺の背中からヒョコッと顔を出すと、志月の心に致命傷を与える言葉を吐いてしまった。


まるで弱いネコが、自分を守るために相手を爪で引っ掻いてしまうように。



「だ、誰……?」

「……、えっ?」


“ガーン”という効果音が聞こえてきそうな志月の表情。

きっと志月の脳内では、頭の真上に落ちてくるデカい石のかたまりまで再現しているだろう。




「覚えてないの?」

「……?」

美桜も、考えている様子。


「………」

黙ったままの美桜は、残念ながら……。



「美桜チャン、俺、いたよね?あの夜、塀に上った時」

「未来が名前を言った時」

「俺、未来の肩をこづいてさ」