「うん」 「未来すごくドキドキしてる」 顔の向きを変え、今度は耳をつけて俺の心臓の音を聞いている。 「当たり前だろ?」 「ひゃあ……っ」 反対側のガラ空きになっている耳に、フッと息を吹きかけた。 家まで送って行くと言った俺に、自分で帰れると言った美桜。 弱かったネコも “強がり” ではなく、本当に少しずつ強く成長していっている。 小さくなる背中を見届けて、俺も店の手伝いに入った。