しばらく息を潜めて、奴が通り過ぎたのを確認した後。


ここに隠れていても、見つかるのは時間の問題だと判断した時。




「行こう――…ッ」

とっさに美桜の手を握ると、すぐそばに見えていたホテルに勢いに任せて入ってしまった。



…――まぁ、言わば


“ラブホテル”に。




「ここで、しばらく時間潰したら帰ろう」

「うん……」


急に落ち着きを取り戻したらしいネコは、誘っているのか――そうでないのか。


ソファーではなく、ベッドに座った。




「……あ、あのね」

ポソッ自信なさげな小さな声で喋りだす。


「うん……?」