「――…はぁッ」 駅近くの路地裏。 ふたりして、息をひそめる。 さすがに ここまでは追って来ないだろう。 「ごめんな、さい……」 耳を済まさないと聞こえない程の小さな声。 ――でも 泣いているんだと、ハッキリ分かった。 その小さな両手が、俺の手を優しく包み込む。 冷え切って感覚さえも失ったこの手に 再び温もりがよみがえった。 「ずっと……待っててくれてた…でしょ?」