「美桜は……」


――俺だけ、見てて?




強がりを言うその小さな唇を、柔らかく塞ぐ。



後ろから刺さる視線が気になるけど、まぁ――


向こうから見れば、
単に至近距離で話をしているくらいにしか見えないだろう。





今の美桜の瞳には
俺しか映したくない。



なんてことは――…
口には出せない、けど。




目的地までは……



俺で
いっぱいになってほしいって。


今だけでいいから。



“お兄ちゃん”

そいつの元に帰るまでは、
“俺の”美桜で……いて?



よそ見をしないで
俺のことだけ、感じてて――。