ふと、ピタッ――と美桜の足が止まる。

視線の先には、自販機。


巻いてあげたマフラーの隙間から白い息がこぼれていく。

黒を照らす、煌々と眩しい光に
闇に慣れていた瞳を細めている。




――ガタンッ

取り出したものは、冬限定のホットミルクセーキ。


ラジオで聞いたことがある。


自販機の温かい飲み物が増えてくると、

――あぁ、冬が来たんだな。


そう実感するってことを。




買ったミルクセーキを半分ずつ飲み干す。



「……ん、おいしい」

そう言って、小さな手で包んで飲む仕草は本当に可愛い。