「いりませんね。でも、この街では揉め事が多かったんですよ。で、誰かが頂点に立って皆をまとめる。という事をしていたんです。まぁ、どうしようもない街なんですよ。」

「へぇ。」

「その王様をつくるという方法は、とても良い結果を創りました。争いもなくなり、皆が平和に暮らし始めた頃、また悲劇が起こりました。」

「王が死んだ。」

「そうです。次の王様も立て、その王様も死に…とこのように、何度も繰り返したのです。」

「結果、王がいなくても団結出来るとわかった住民は、王を立てるのをやめて、感謝の気持ちを込めて、皆が王の墓を公園に立てた…と?」

「その通り。翔さんは賢いですね。」

「結局、王様はいらなかったんだ?」

「はい。人間、自分達の力で頑張れるという事ですね。」

「なるほど。どうも、ありがとうございました。」

「ありがとうございました。面白かったです。」

「よかった!では、この街を堪能して下さいね!」

「はい!」

亮が去って行き、二人は公園のベンチへ。