悠斗君の体を、正面からぎゅっと抱きしめる。
「…ただいま」
そう彼が言うから、涙声で、でもはっきりと返した。
「おかえり…」
「逢いたくて、死にそうだったし」
私もそうだよ。
「受験、落ちるかと思ったけど…受かった。H大」
「え?H大?雅也君と同じ?」
…そんなに頭が良かったとは。知らなかった。
「うん。受かった。お守りもあったしな」
彼が掲げて見せたのは、いつか私があげた、四つ葉のクローバーのストラップ。
ちゃんと大事に持っててくれた事に、また嬉しくて泣けた。
「これで、やっと亜矢の返事が聞ける」