悠斗君のラブレターに気づいたのは彼が発った後だった。


きっと、電話もメールもしないと約束したから、メモに残してポストに入れてくれたんだと分かった。


でも肝心の日にちが書いてないから、春休みの間中、暇があればここにいた。


今日は3月29日。私の19歳の誕生日だった。


「覚えててくれたの…?私の、誕生日…」


「…忘れる訳ねぇだろ」


そう言って私を抱きしめる腕は、優しくて、あったかくて、私も彼を抱きしめたいと思った。


「離して…。悠斗君の顔、見たい」


そう呟くと、名残惜しそうに離れた体。


ゆっくりと振り向くと、優しく笑う彼の顔が、また少し大人になっていた。


「…馬鹿、また泣くなって」


仕方ないじゃん。嬉しくても涙は出るんだもん。