「…やっぱり雅也の言った通りなのかよ。

お前…ねーちゃんの事何も分かってねぇよ…」


それでも。


俺は亜矢の手を離したくなかった。


「…亜矢、俺じゃなくちゃ駄目だって言ってくれただろ…?俺は、もう少しの間しかここにいられないけど…でも…」


亜矢の手を掴んで振り向かせて後悔した。


亜矢は声も出さずに、


泣いていたから。






「そんなの…嫌だよ…。私、そんなに強くない…。

一人は…もう嫌なの…」


亜矢の本当の気持ちを、馬鹿な俺は、初めて聞いた気がした。