鈍い音がした。


左の頬に痛みが走って、俺は後ろに倒れ込んだ。


亜矢の悲鳴が聞こえた。


「ふざけんな…!ふざけんなよ!なんでお前はそうなんだよ!お前は何にも分かってねぇよ!」


「優太!やめて…!」


水溜まりの中に勢いよく突っ込んだ俺は、制服もびしょ濡れになった。


優太の声は、怒りに震えていた。


「…また、ねーちゃんを泣かせるのか!?今までずっと放っておいたくせに!
お前を忘れられなくて、彼氏もずっと出来なかったねーちゃんをずっと見てきたんだ!
お前なんかにねーちゃんを任せられる訳ねーだろ!!」