一度目の電話に出なかった彼女にホッとしている自分と、がっかりしている自分。


俺の答えは、この時出ていたんだ。


『亜矢を縛れない』


それだけだった。


待たせたくない。
泣かせたくない。
寂しい思いをさせたくない。


だから、さよなら。



こんな自分勝手な俺を、彼女がいつまでも想ってくれているはずがない。

そもそも、亜矢の気持ちすら聞かなかった。


新しい男もいるかも知れない。できれば知りたくない話。


そんなに長くない約束の同居。それさえ果たせたら俺はもう、二度とここには来ない。


俺がここにいる時間は、「今年いっぱい」


そういう約束なんだから。