こっちに帰って来たのは5月に入った頃だった。


高2になったばかりの俺と、高3になったはずの彼女。


会いに行く事は出来ないし、ましてや電話だって。


あの別れの前日に解約した携帯。


電話番号も変えて、それを誰にも知らせなかったのに、


俺は彼女の番号だけは、どうしても消せなくて。


かける予定もなかったのに、新しい携帯に登録した。


まだ空港に向かう電車に乗る前に、彼女に電話した。


最後に会えるかも知れないほんの少しの期待感。


非通知なのは最後の俺の迷いからだったのかも知れない。