「…ハル、具合でも悪いの?もう寝るの?
たまにはリビングに降りて来て、家族団欒しよーよ、ね?」
妙に懐いてくる麻美は、またいつものように俺に腕を絡めて、甘えたように言う。
正直、麻美の事が俺は苦手だ。
俺には兄弟なんていた事がないし…ましてや‘妹’だなんて。
でも、邪険に扱えない。母さんにとって、麻美は娘で、
俺はこの家の居候に過ぎないのだから。
…不本意だけど、母さんの為に、麻美に冷たく接する事は出来なかった。
「…あぁ、食うよ。母さんに今降りて行くって言っといて」
そう言って、麻美の腕をそっと振りほどいた。