「…悠斗、時間だ」


立ち尽くす俺に、後ろから話し掛ける低い声。


振り返ると、コーヒーとコーラの缶を手にした中年の男の姿。


「…ああ、親父」


俺は出来るだけ普通に返事をしたつもりだったのに。

俺の顔を見て、親父は深いため息をついた。


「お前、何て顔してるんだ。この世の終わりみたいだぞ」


「……」


…うるせーな。誰のせいだよ。


コーラを俺に手渡して、親父はちょっと寂しそうに呟いた。


「…良かったのか?お前、あんなに嫌がったじゃないか。大阪行き」