悠斗君は、しばらく黙って…そして話し始めた。
『…俺、大阪に行く。親父の転勤なんだ。今、新千歳空港。…もうすぐ出発する』
空港までここから一時間はかかる…。
最後に顔を見る事も叶わない。
「どうして…?私、まだ返事してないじゃない…。それに最後の挨拶くらい…してくれたって…」
『…亜矢。返事は…もうしなくていいんだ。こんな事になって悪かった。俺達…多分もう…会えない』
悠斗君の声は、今まで聞いた事もない位辛そうな声だった。
『…俺は知ってる。離れたら駄目なんだ。そばにいても壊れる関係もあるのに、まして会えなくなったら…きっと気持ちは変わる。俺にはきっと耐えられない。亜矢の気持ちが別の男に移るんじゃないかって思うだけで…気がおかしくなりそうなんだ…』