2009年7月――
まだ朝といえど、照りつける太陽は灼熱で、その光はアスファルトに反射して更に熱を帯びる

毎週金曜日1限開始1分前
私はいつもこの国際学部棟3階の角教室の窓から、ある場所を瞬きを惜しんで見つめる
見つめる先は、この教室の真横に位置する学生専用駐車場
決まってこの時間、あの人は愛車を飛ばして登校してくる
その姿が見たくていつも窓側の席をとって待ってるの

ほら、噂をすれば
そんなに急ぐならもう少し早く来ればいいのに、家近いんだから
1限の講義、4階でしょ?
急がないと遅刻にされちゃうよ
…なんて、思いながらも声をかけずにはいられない

だって…――

「なっつーっ!おはよーっ!」
毎週金曜日恒例のことだから、あの人もすぐ声のしたこっちを見る
「おー!おはよ!」
「なっつ急がないと!1限開始まで1分切ったよ!」
本当はもっと話したいけど、なっつが遅刻したら大変
「げっ、じゃぁな!」
鞄を持っている手と反対の左手を挙げて、講義室へと走って行ってしまった

だって好きだから…――