「りく・・・?」
「ごめん梓!!あんなこと言って・・。」
突然抱きしめられて、動けない。
「ううん、あたしが悪いの。」
そのままの体勢で、陸に言った。
だって今日はもう家に帰りたいから。

疲れた・・・・。なんだか、とっても眠いの。

きっと体が睡眠を必要としているんだ・・。

「ごめん。今日は帰らせて。」

そう言って陸の腕を押した。
少し冷たい言い方だったかもしれない。
でもそんなこと気にしてらんない。
視界がぼやけてきた。

「おい梓!」

怒りを含んだ陸の声が後ろから聞こえる。

「・・・なに?」
「お前、顔真っ赤だぞ!熱あんじゃねぇの!?」
「無いよ」
「そんな状態じゃ、家に着く前に倒れんぞ!」
「大丈夫・・。」

「大丈夫じゃねぇって!・・・よっ!」
「わぁっ」

気づいたら、陸におんぶされてた。

「ひっ、一人で帰れるよ!」
「あー、もう!俺が勝手にやってる事だから気にしねぇの!」
「・・・ごめん」
「謝んなって。」

陸の広い背中に顔を埋める。
久しぶりに感じる陸の香りに、涙がにじんできた。

「・・・あのな、梓」
「・・ん」
「俺、梓にあんなこと言ったじゃん?」
「・・・・・ん」
「あれな、なんつーか・・梓、変わったなーって。」
「・・・?」

変わった・・?

「最初さ、梓のこと、変なヤツだなぁと思ってた。なんかズレてるし。」
「・・・なにそれ」
「や、昔のこと。」

「そんでさ、俺、そんな梓が、いつの間にかすっげぇ大好きになってた。」
「・・・うん。」


「でも、気が付いたら梓はどんどんかわいくなってって・・俺・・超不安だった」
「不安?」
「こんなに可愛い梓に男が寄り付かないはずがないじゃん。」
「そんなこと・・気にしてたの?」
「・・・うん。」