「ねぇ、陸、なんで最近構ってくれないの?」
あたしの名前は、山吹 梓。
「さびしいよ・・陸ぅ・・。」
あたしが腕を絡めて甘えるのは、彼氏の陸。

「ねぇ陸ー・・・」
「うっせぇなぁ・・・・。ちょっと黙れねぇわけ?」
そういってあたしの腕を振り払う。
そのときの迷惑そうな陸の顔が忘れられない。

「あは・・、ごめんね・・。あたし、ちょっとうるさ過ぎたかな・・。」
「お前といると、疲れる。」
「・・・・ごめん」

陸は何も言わずに冷たい目であたしを見た
当たり前かなぁ・・。

「ごめんね。・・今日は帰るね。」

でもね。
あたし、嫌われたくなくて頑張ったんだよ?
ダイエットも頑張った。
ダサかった髪も染めて、毎日綺麗に巻いた。
メイクだって・・・ファッションだって・・・
もっともっとかわいくなりたくて・・。
陸の隣にいたくて
陸に好きになってもらいたくいて
陸に「かわいい」って言って欲しくて・・・。

「う・・・っ」

ぽろぽろと涙が溢れて、止まらない。
陸・・・・陸・・・・

いつの間にか、家の近くの公園にたどり着いてた。
「ここ・・・」
陸に告白されたところ。
陸とはじめてキスしたところ。
陸との待ち合わせにつかっていたところ。

陸との待ち合わせはいつもここだった。
わざわざあたしの家に近いところにしてくれてたんだね。
優しいね、陸・・・。


キィ・・・

ブランコに座って、ぼんやりと周りを見る。
いつの間にか降り出した雪が、体温で溶けて、冷たい雫になる。



「さむ・・・」

後先考えずに飛び出してきたから、薄着のままだった。
マフラーもコートも陸の家にある。
時計を見ると、1時間近く座っていたらしい。
手なんかもうほぼ感覚が無い。

「家・・帰んなきゃ」

フラフラと家に向かって歩き出した。


「梓!!」
びっくりして振り向くと、そこには、大好きな陸がいた。