メモ紙を凝視したまま固まるあたし。
急ぎかな?場所分かんないんだけど…。
はぁ…。とため息をつくあたしに、誰かが話しかけて来た。
「どうしたの?分かんないところある?」
『…あ』
いきなり声がして上を向くと、そこにはさっき吉岡さんが指差した男の人が立っていた。
身長が高くて、スタイル良くて。スッと整った鼻筋に、優しい笑顔。
黒髪に黒縁のメガネ。
めちゃめちゃイケメン…。
「…?どうしたの?」
キョトンとする顔はどこか幼くて。多分高校生くらいだと思った。
『あ、いや…これが置いてある場所が分からなくて…』
そう言って持ってたメモ紙を前に差し出すと、あぁ。と微笑んだ。
「初日だもんね。場所教えるからついてきて」
『ありがとうございます』
スタッフルームのドアを開けてこっちを見る男の人にお礼を言ってついて行く。
…助かった。