『聡子、あんたは幸せにならなきゃならない。私がついてるよ、何も怖がる事はないんだ』

そう言って私を抱きしめた。

懐かしい香りがした…。この人の愛は肉体や精神を越えて私を包みこんでくれている。

再会に浸る暇もなく若女将は帰るべき場所へと帰って行った。

この時私はすでに感じていた。これが若女将との最後だと…。

走り去る車をずっとずっと見つめていた。流れる涙を拭いもせずに…


ずっと、ずっと…。