「あぁ、疲れたぁ」




あたしはコートを脱いで、ベッドに腰を下ろした。




「どこ行ってたんだ?」
那抖は、床にあぐらをかいて座った。




過保護な那抖に少しおかしくなった。




「お兄様ぁ、あたしバスケ
 の試合見に行きましたのよ」



「お〜!女子のか!」




「男子のだよ?」




「そんなの聞いてねぇ!」



「そんなの言ってねぇ」



「もうっ!」
那抖がほっぺを膨らませて恨めしげに見つめた





ときどき子供みたいな那抖が、なんだかかわいい。




「バスケ部に友達が好きな男子
 がいるんだよ。だから・・・」




「えっ、そうなのか?」




「愛のキューピッドとでも
    言いましょうか」




「ふふっ、
 少しは自分のこと考えたら?」




――バフッ!

ぶん投げたクッションを那抖が顔で受け止めた。




「てっ、なんだよ〜!
 待っててやったのに!」




「うーるーさーいっ!」




那抖が随分前から待ってたのはわかってた。




石ころをたくさん積み上げて、おっきな山ができてた・・・



それから・・・






さっきそっと触れた手が、とっても冷たかったから・・・