「すげぇー!
 たこさんウインナーだ!」

松本の友達が叫んだ。




『いやいや、あんたの顔が
  たこさんみたいだよ』




「名雪ちゃん、すごいな!」



「いや、それほどでもぉ」

松本にほめられ、名雪ははにかみ、頬を赤らめた。



『いやいや、それを見せたくって
  作って来たんでしょって』



「さっちゃん!
 ブツブツうるさーい!」


『・・・イダァーッ!』

あたしは名雪におもいっきりつねられた。




あたししか食べたことない名雪の弁当を、食べられたことに腹がたったのか、あたしのことなんかどうでもよさそうな名雪を見て、腹がたったのか、なんだか自分でもよくわからなかった。



「ぷーんだ・・・」



名雪は松本とあたしの間に挟まれて、食事をしていてもわからなかったみたいだけど、あたしの耳には周りのヒソヒソ声が聞こえた。




「何あれ!」

「ムカつく〜!」




あぁ、すみませんね・・・


好き好んで一緒にお弁当食べてる訳じゃありませんって。




松本ってなかなか人気あるんだ。




「ふ〜ん・・・」




「え?何・・・?」

松本が名雪の陰からひょいっと顔を出しのぞいた。




「・・・松本って
 どんな女の子が好きなの?」




「元気のいい子かな。
 料理上手い子も得点高いな!」



「ほぉほぉ」




あたしは名雪の背中にツンツンした。




『作戦成功じゃん!』




名雪は松本達に気付かれないように、ウインクした。



やっぱり・・・確信犯だ・・・