「あっいたいたぁ!手振っ
 てるよ!名雪達にかなぁ?」




「まさかぁ。手振ってみたら?」




「やだぁ!むりむりぃ!」



「でしょ?」




最近こうやって名雪をいじるのが楽しくなってきた。



「ねぇ、ずっと気になってたんだ
 けど、そのおっきいの何?」




「これ?お弁当よ♪」




「大きすぎない?」




「へへへ♪」
何か企んでるような笑いをした。




「まさか・・・ね・・・」




いよいよ試合が始まる時間になり、緊張感が走った。




松本はいまさっきとは違い真剣な目をして、体をほぐす為に準備体操をしていた。




「松本く〜ん!がんばってぇ!」




女子高生の声援が飛び交う。




「松本、なかなかモテますなぁ」




そう言って名雪を横目で見た。




口を尖らせてぶすっとしてる。




「名雪も声援したら?」




「一人じゃ恥ずかしいもん・・・」




あたしに『一緒にお願い』的な顔をした。




「あたし達は大人だからおとなし
 く見よう。うんそうしよう」




名雪が、いまさっきよりぶすっとした顔をした。




松本がシュートする度に、女子高生が
「ナイシュー!」
と声援するので、名雪は喜んだりいじけたり忙しかった。




そのうち名雪が、挑戦的な目をしてきたのを、あたしは見逃さなかった。