その日のコンビニは、お客さんも多く先輩と二人バタバタとしていた。



「あっ、この雑誌は表紙が汚れて
 ますのでお取り換えいたします
 ね。少々お待ち下さい」



その雑誌と同じ物を取りに行く途中、中学生ぐらいの男の子とすれ違った。



一瞬のことだったけど、カゴにはかなりの量のビール、単行本、お菓子が入っているのが見えた。



あんなに・・・?



なんとなく不審に思ったあたしは、気にかけながらもレジを打ち続けた。



「ありがとうございました」


袋を中年の男性のお客様に渡すと同時に、男の子が突然『カゴダッシュ』した。


「やっぱりっ!先輩っ!!」


自動ドアを出ようとする中年男性を追い抜き、男の子をダッシュで追いかけた。

「待て〜!泥棒〜!」



さすがに足が速いあたしでも、男の子には敵わない。



どんどん差をつけられていった。



どうしよう。

逃げられちゃう!



男の子が、赤信号になりそうな信号の横断歩道を渡っりきった時に、誰かが男の子に飛びかかった。



「おらぁっ!コノヤロー!」



「那抖!?」

那抖が暴れる男の子を地面に押さえ込んだ。



「紗茅!警察呼べっ!」



「でも!」



「いいから早く行けっ!」



「うん!」




あたしは慌てて、今来た道をまた走った。