学校に着き、いつものように後ろのドアから窓際の自分の席まで、真っ直ぐ向かおうとした所を誰かに遮られた。




「お〜吉岡!久しぶりじゃん!」




突然声をかけてきたのは、高槻に脅され、今まで口をきかなくなってた男子。




クラス全員の注意が、自分に向いてるのに気付いた。



でも明らかに、謹慎前に教室へ入る前とは違う空気なのがわかる。




ポッケに手を突っ込みニヤニヤとした顔であたしの言葉を待っていた。




何・・・?気味が悪い。




「おまえ、かっけ〜よな!」




あぁ、強い者につくって言うやつか・・・




「高槻あわくってたよな〜!
 でもなぁ、仮病みたいだぜ?
 倒れたの嘘!
 怖くて固まってただけだってよ
 ・・・・・・ケケケ」




勝手に一人で話してるし・・・




「うざ・・・」




「あ?」




「消えて」




冷ややかな目であたしは言った。




「なんだ?こいつ!」

そう吐き捨てた後、顔を引き攣らせながら離れて行った。




あんたが何考えてんだか。

上手にそうだよね〜なんて笑えるかって。


調子良すぎ。




あたしは自分の席に座り、窓に広がる真っ青な空を見上げた。




一回裏切られた気持ちを繕うのにも傷みが賄う。




繕うのには針がいるものね。




あたしの心はつぎはぎだらけだ。




早くこの四角い鳥籠から逃げ出したい。