「よっしゃあ!帰りは交代なぁ♪」




那抖が自転車をあたしに渡した。




「え〜!無理ぃ!
 だいたいどこ持つ気?
 変なとこ触んないでよね」




「さわんねーよ!
 俺立って乗るから!
    肩貸してな!」




ドキッとした。




那抖の手の温かさが、体中に伝わってくる。




胸の鼓動がドキドキと早くなる。




どうか那抖に気付かれませんように・・・



「おいっ固まってんぞ!」


「うっるっさいなぁ!
 久々だから保障しないよっ!」

あたしはごまかすように強がった。

「乗る前に言えっつーのっ!」



みるみるうちに自転車の速度も、あたしの心臓の速度も、速まっていった。



「キャー坂ぁ!落ちるぅ!」



「ヒュー!風きっもちいーい♪」



「ギャー!カーブ!止まれない!
 ぶつかる!ぶつかるー!」




「ギャー!」
「ウワァー!」




――ガシャーンッ!




あたし達は、人家のガレージに突っ込んでしまった。