――カラカラカラ・・・

「こんばんはぁ♪」

那抖がひょっこり顔を覗かせた。



ママがあたしの方を見てニヤッとした。



「え〜!早すぎない?!」

照れ隠しに、咄嗟に立ち上がってしまった。




「お邪魔しま〜す。
父ちゃん寝てた!酒はとりあえずなかったよ」


「そっか、よかった」


ホントによかった。

那抖がまた暴れだしたら大変だもん。




「那抖君のお父さんは何号室?」


「305です」


「そう、じゃあご挨拶に行っておかないとね」


「え!いっすよぉ。
親父、のんだくれだし」


「そうなの?まぁパパと一緒ねぇ、紗茅」


「え?パパ・・・?」


「うん、パパもお酒の飲み過ぎで入院してたのよ」


「そうだったのか・・・」


「昔は小さくてあたしには何も出来なかった。飲ませるのやめさせることもね。だから那抖のしたことは間違ってないよ」


「そうだったのか・・・
あっ!そーいえば今日チャリで全速力で走ってたろ!」


「あら、見てた?」


「おっまえ、もう少しでパンツ見えるとこだったぞ!」


「見たかったとか?」


「うん、ちょっとだけ」

――バコッ!



「いって!おっま、俺のこと一日一発殴ってんな?」

「一日一善よ」


「ママさ〜ん、
いっつもこうやって紗茅は俺を虐めるんですよ〜うぅっ!」


「ふっ・・・Sですから」


「もう、まったく二人とも・・・
おかしいわぁ。いいコンビねぇ」

ママが久しぶりに大笑いした。



あたしは、それだけで嬉しかったんだ。


ママが笑顔でいてくれるだけで・・・・・・