そして四年前にパパは他界した。




パパが亡くなってからは、ママの再婚話しがない訳でもなかった。




――「紗茅、この間紹介した人どうだった?」




「やだ。あんなじいさん・・・」




「そう?お金持ちだから
 不自由はしないんだけど・・・
 そっか・・・紗茅が
 駄目って言うならやめるわ」




ママは何もわかってない・・・



誰でも駄目なんだってば。



小さい子供でもないのに、ヤキモチを妬いてしまう。



ママの幸せを、願ってない訳ではないけど。




それと女の勘で、その人が心からママを愛してるようには見えなかった。




いや、反対にママが愛してるようには見えなかったのかもしれない。





――「・・・名雪?ママはきっと名雪のこと愛してるよ」




「どうしてわかるの?」




「名雪はできる子だから期待
 されちゃうんだよ、きっと」




「エヘヘ、そうかなぁ。
 名雪って褒められて
 伸びるタイプなんだもん♪」




「うん、だから褒めた!」



「もぉ〜紗茅ぃ〜!
 あっ!今日のお弁当ね、
 紗茅が大好きなエビフライ
     入れてきたからぁ♪」




「さんきゅっ♪
 あっ、バス乗り遅れちゃうよ!
 乗り遅れたら
 サラリーマンと一緒だよっ」




「やだぁー!」




急いで玄関の戸締まりをして、バス停まで走った。