「さぁ〜っちゃん♪」

名雪は今日も笑顔で迎えに来てくれた。


「おはよ名雪♪昨日ごめんね?」


「さっちゃん、今日は一緒に帰るだっちゃよぉ♪」


「は〜い、わかったよ♪」

「名雪、昨日はあれから何もなかった?」


「うん・・・」

名雪が一瞬目を逸らした。


「何かあったね!何?」


「帰りに高槻達に取り囲まれた。
なんで紗茅と一緒にいるんだって言われて」


「なんて言ったの?」


「誰になんて言われようが、親友をやめる気はないって言った」


「名雪・・・」


「ヘヘッ・・・そしたらビンタされちゃった!」


「あっいっつら―――!」

「さっちゃん怒らないで!」


「許せない!
許せる訳ないじゃん?」


「なんであたしがメールで知らせなかったかわかる?」


「わかんない!」


「さっちゃんがすぐ駆け付けてくれることはわかってた。
でも、名雪強くなりたかった。
一人でがんばりたかった。
さっちゃんにえらいねって言ってほしかった」



「名雪・・・」


「名雪、えらかった?」


「うん、えらかった。
がんばったね」


頭を撫でてあげると、名雪が瞳に涙をためた。



「名雪ね、ママに褒められたことないんだ。
何してももっとこうしなさい。もっとできるでしょって」


「そっかぁ・・・」


「ママね。
名雪のことぶつんだよ」


「え?」


「あたしのこと
可愛くないんだよ・・・」


「そんなこと!」


「紗茅はある?
ママにぶたれたこと」


「ないけど・・・」



考えたら、あたしは幸せなのかもしれない。



ママには愛されてきた。



ママは、日曜日の度にどこかへ遊びに連れて行ってくれた。



あたしの為なら、なんでもしてくれた。