――♪〜♪〜

「いらっしゃ・・・」


「うぃーすっ!」

ニコニコしながらアニキが店内に入ってきた。


「あんたは、あたしのストーカーか」


「仕事場の近くにあるから来てるだけじゃ〜ん♪」


「いまさっき会ってから、一時間と経ってませんが?」


またもや、後ろからゾロゾロとおっちゃん達が入って来た。


「おまえっ!いつの間におねーちゃんといい感じになっちゃったんだよー!」


「イテテッ!違うんすって!」
羽交い締めにされ、アニキの顔が真っ赤になった。


「おねーちゃん♪こんなガキより俺の方が・・・」


「田中さーん」

今まで見たこともない顔でアニキが凄む。


「なんだよ!冗談じゃんかよぉっ!そんな怖い顔すんなよぉ!」


「おねーちゃん?パパもいるからね。あっほらアイスクリーム買ってあげよう!」


「おやっさん!」


「ウッヘヘ、そっかそっか、おまえも隅におけんなぁ。でかしたぞ!」


「も、いいっす・・・とっとと買うもん買って帰りましょ」


「ねーねー、その泥んこどーにかなんない?」


かわいそうなことに、最後に残ったアニキが、先輩に叱られてしまった。


「あぁ!すみません!今度から落として来ます!じゃなっ!紗茅!」


「あっ忘れてた!」



アニキは何かを思い出したらしくUターンしてきた。

「これおまえのと、
 『美人』の先輩のな」


やたら『美人』と言う言葉を強調して、アイスクリームを二つ置いてった。




「じゃなっ♪」


アニキの後ろ姿を見送りながら先輩が言った。



「あら・・・なかなかいい子じゃない」