「じゃあねっ名雪、
   また後でね♪」


「あ〜い♪」



名雪は空になった弁当箱を二つぶら下げて、嬉しそうにスキップしながら自分の教室に帰って行った。



久々だなぁ、昼過ぎまで学校にいたの。



自分の席に座ると、すぐに机にうつぶせた。




お腹いっぱいなったから眠〜い。



帰りたーい。




でも名雪と一緒帰る約束したからなぁ・・・




う〜ん・・・・・・





――「・・・かさん!吉岡さん!」



「・・・んー?」



「吉岡さん!」



「へい?」



「へいじゃありません!
 起きなさい!たまにいるかと思
 えば寝てるし!」



キーキー声でヒステリックに怒鳴られ目が覚めた。



「大丈夫、進学しないし」



「そういう問題じゃないの!」



「はいはい、
 邪魔者は帰るから」



「こら、待ちなさい!」



起きたら真っ赤な口紅を塗りたくった英語教師の前原にびっくりさせられたのと、眠りを妨げられた怒りで教室を出てしまった。



「あぁ、心臓に悪い」



その真っ赤な唇は、小学生の頃に流行った口裂け女を思い出した。



「ババア♪ババア♪
 くっちっさっけっ・・・
       ぬあっ!」



忘れてた!
名雪と帰るって約束したばっかなのに。



あーぁ、しかもバスに乗ってしまったし・・・




「メールしておこっと」