屋上には雲一つない青空が広がっていた。



目を閉じて空を仰いだ。



「う〜ん、気持ちいいねぇ♪」



「ちょっとこの時季に
 陽射し強すぎるけどぉ」

名雪は日焼けを気にしてるようで、ブツブツ言ってる。



「名雪のお弁当サイコー!」



「ホントに?
 名雪毎日作ってあげるぅ♪」



「悪いよ」



「いいのぉ!作るのぉ!」

名雪がプーッと膨れっ面をした。



「あっではお願いいたします。
 うちはいつもママが作ってたけ
 ど名雪んちは名雪が作るの?」



「うん、名雪は料理も
 ママに叩き込まれてるからね」



「そっかぁ、だから
 こんなに上手いんだ!」



「本当?
 名雪褒められたの初めて!」



「名雪のママって厳しい
 のってどんな?勉強とか?」



「うん、後しつけとかも」



「わりとお嬢?」



「うん、お嬢様ぁ♪」



「自分で言うな、自分で」



「勉強の他にピアノ・書道・英会
 話・茶道・料理だよ。もうやだ
 よぉ」



「ヒャーすごっ!
 あたしなら逃げるなぁ」



「でひょーぉ、
 あだまおがじぐなう」



名雪がうずらの卵を一気にいった。



「こらこら、
 食べながら愚痴るな!」



「あっママにひかられう〜!」



「全然しつけが
 身になってないじゃん!」



「だって、嫌々だもん」


「名雪が1番好きなことって何?」



「名雪?んっとぉ・・・」

ご飯粒を口元につけたまま名雪が答えた。



「ピアノと料理は好き♪
 さっちゃんは?」



「ん〜歌うことかな。
 歌がないと生きてけない」



「え〜!今聴かせて!」



「また今度ね〜♪」

名雪が背中を向けてイジイジしだした。



「名雪のたこさんウインナー
       かわ〜いい♪」



名雪がこちらを振り向いてニヤリとした。