二人がちょうどバス停に着いたところで、バスがやってきた。



「よかったぁ、間に合ったね」


そう言ってバスのステップを一段上がると、1番後ろの席に高槻達が座っているのが見えた。



あたしは、とっさにバスから飛び降りた。



「名雪、ごめん先行って!」


「えっ!なんで?
 やだぁ名雪も降りるぅ!」


他の生徒に邪魔されて、名雪は降りることはできなかった。


「次のバスで行くから!」

――ピーッ!バタンッ!
ドアが閉まった後も、名雪が叫んでいた。



バスから背を向けて歩き、バス停のベンチに腰かけた。



バカなあたしは、肝心なことを考えていなかった。



――名雪を巻き込んでしまう――



それだけは避けたかった・・・


すぐにやってきた一般用のバスに重い足どりで乗った。



次のバス停には、怒った顔をして名雪が立っていた。



「名雪!」



そう叫ぶとあたしに気付いた名雪は急いでバスに乗り込んだ。



「さっちゃんのバカァ!
 名雪おいてけぼり、いや違うか
 ・・・もうっとにかく、なんで
     降りたのよ!」

「高槻達が乗ってたんだよ。
 名雪まで巻き込む訳には・・・」


「名雪そんなの気にしない!
 とっくに覚悟できてる」

「でも・・・・・・」


「名雪はさっちゃんに救われたん
 だよ?今度はさっちゃんを救う
 番だよ!」


「名雪・・・・・・」


あれ?

なんだ・・・これ・・・





自然に涙が溢れてきた。