屋上には誰も上がって来なかった。


そりゃそうだ。


事を大きくすれば、自分が危うくなる。


悲しいことに、この学校の中で保健室と言う安住の地を無くした者には、屋上しか残っていない。




「・・・死にたい」


「え・・・?」




「もう死にたいよ・・・」


「なんでよ!」




「これからどうしたらいいの?
 こんなことされてあたし・・・
 汚い。生きてる意味ない・・・」



「ばかっ!汚くなんてない!
 汚いのはあいつだよ!
 生きてる意味ないなんて
 言わないでよ!意味なく
 生まれてくる人なんて
 いないんだよ!
 人間は何があったって
 死んじゃいけないって
 ママが言ってた。だから、
 だからあたしは死なないんだ!
 死んじゃだめなんだよ!」

まるで、自分に言い聞かせるように叫んだ。


「でもママにばれたら生きていけない・・・
あたし、万引きがバレて。
それで脅されて・・・・・・」


「そーなんだ!あいつサイテー!
ママって厳しいの?」


「うん、かなり・・・・・・」


「もう、大丈夫じゃないかなぁ。
あたしが見ちゃったし、あいつの弱み握っちゃったし・・・」


「そうかなぁ・・・・・・」


「ねぇ、気持ちはわかる。
あたしだって死にたくなることあるよ。けどもう死ぬなんて考えないでよ」


「うん・・・でも、もう教室にも家にも戻るの嫌だな・・・」


「じゃあさ、早退しよっかぁ?」


「でも、ママが・・・」


「大丈夫!任せといて!」